撮影日記


2015年05月13日(水) 天気:晴

水星を眺める夕方

最近,夕方の西の空に,ひときわ明るく輝いている星があることに気がついている人も多いことだろう。これは,金星である。
 金星は,地球と同じように太陽のまわりを回っている惑星の1つである。地球よりも内側(太陽に近い側)にあるため,地球から見るといつも太陽の近くに見えることになり,夕方か明け方にしか見ることができない。金星はとても明るく見えるため,夕方に見える場合は「宵の明星」,朝に見える場合は「明けの明星」と呼ばれる。このような呼ばれかたのため,金星は日没直後の時間帯や日の出直前の時間帯でしか見られないと思われがちだが,そんなことはない。実際,最近は21時頃でもまだ見えている。ただそのころにはかなり低いところに見えているので,目立たなくなっているだろうし,街なかでは建物に隠れてしまって,ある程度,注意していないと気がつかないかもしれない。
 地球よりも内側にある惑星としては,金星のほかにもう1つ,水星がある。金星よりもさらに太陽に近いところを回っているために,金星ほど太陽から離れることがない。金星にくらべて小さい惑星でもあり,金星ほどあかるく見えないこともあって,実際に目にする機会はかなり少ない。かなり意識しないと,実際に目にすることはできないものである。

先週,水星は東方最大離角になった(*1)。最大離角のとき,水星は太陽からもっとも離れて見える。最大離角の前後は,水星を見ることが貴重な機会である。夕方,あたりが暗くなるころに,西によく開けたところで空を見てみよう。広島では,東京にくらべて日没が遅い。それでも18:30くらいになって,空に昼間のようなまぶしさがなくなってくると,青空のなかに小さな光る点,金星が見えてくるだろう。そして空は次第に暗くなり,金星はますます目立つようになってくる。
 だが,水星はまだ見えない。
 19:00を過ぎて空が暗くなってくると,空の高いところにも明るい星があることに気がつくだろう。これは,木星だ。惑星はみんな,ほぼ同じ平面上にあるとみなせるので,木星,金星,そして太陽が沈んだあたりを結んだ線上に,水星も見えることになる。おおよその位置は見当がつくのだが,やはり見えない。

こういうときは,双眼鏡を使ってみよう。

左側の,口径24mm,倍率8倍のものでじゅうぶんである。
 双眼鏡で,おおよその見当をつけた範囲を眺めていると,それらしい点を見ることができた。
 だが,肉眼ではその存在がわからない。上空はかなり暗くなっているが,水星があるあたりの空は,まだほんのりと明るさが残っている。また,低いところはどうしてもややかすんでいることも,水星が見えない原因になっているだろう。
 19:30くらいになると,空がかなり暗くなってくる。やはり肉眼では水星がわからないが,双眼鏡でははっきりとわかるようになってくる。だが,時間の経過とともに水星はどんどん山に近づいていき,20:00を過ぎるころには山に隠れてしまう。
 肉眼では水星を見ることができなかったが,双眼鏡では見ることができた。実は,水星を見たのはこれがはじめてである。
 ディジタルカメラにはいちおう写ってくれたようだ。下の画像は縮小しているので,非常にわかりにくくなっているのだが(^_^;

Nikon D70, AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VR

*1 ほしぞら情報 2015年5月 (国立天文台)
http://www.nao.ac.jp/astro/sky/2015/05.html


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