撮影日記 |
---|
2014年5月7日(水) 天気:はれ印画紙で大判写真を撮影しよう
|
フィルム | 供給サイズ | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
135-24 | 135-36 | 120 | 220 | 4×5 | 5×7 | 8×10 | ||
モノクロ | ネオパン100ACROS | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
プロ用ネガ | PRO160NC | ○ | ||||||
PRO160NS | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
PRO400H | ○ | ○ | ||||||
リバーサル | PROVIA 100F | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
PROVIA 400X | ○ | ○ | ||||||
VELVIA 50 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
VELVIA 100F | ○ | ○ | ○ | |||||
VELVIA 100 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
だからもはや「ゴナナの日」というものは,成立しないのかもしれない。だが,ここでめげてはならぬ。その理屈からすると,1月27日「ベスト判の日」,3月4日「ベスト半裁判の日」や8月28日「バンタム判の日」も成立しないことになりかねない。こんなときだからこそ,「ゴナナの日」を決行しなければならないのだ。
例年のごとく(2011年5月19日の日記を参照),組立暗箱にカビネ判の印画紙をセットして撮影することにした。カビネ判の印画紙は,カビネ判のフィルムや5×7判のフィルムと微妙に大きさが違うのだが,それは誤差の範囲である(2010年4月25日の日記を参照)。
さて,これまで印画紙で撮影するときには,フジブロWPの2号を使ってきた。もっとも安定して入手が容易な印画紙で,かつ比較的軟調のものだからだ。実際には2号印画紙は「標準ネガ」のプリントに向いた「中間調」のもので,決して「軟調」ではない。だがいまでは,富士フイルムの号数印画紙は,2号と3号しか発売されていないからしかたない。軟調の印画紙を使いたいのは,印画紙はフィルムにくらべればじゅうぶんに硬調に写るためである。印画紙で撮影すると硬調になる原因としては,そもそもコントラストが高くなるようにつくられているうえに,色に対する感度が「パンクロではない」ことがあげられる。フジブロWPのデータシート(*7)を参照すれば,「レギュラータイプ」であることがわかる。だからこそ,暗室内で赤いセーフライトが使えるのだ。
そこで今回は,フジブロの2号ではなく,イルフォードのマルチグレード紙(MG-IV)を使うことにした。マルチグレード紙であれば,0号や1号に相当する軟調に写せるという期待がある,というわけではない。イルフォードMG-IVはデータシート(*8)によれば,特性が「オルソタイプ」に相当する。「パンクロタイプ」ほどではないが,フジブロWPを使うよりも比較的自然な写りが期待できるのだ。
フジブロWPのデータシートにあるグラフと,イルフォードMG-IVのデータシートにあるグラフとを,強引に重ねてみた。フジブロWPは紫から青にしか感度のないまったくの「レギュラータイプ」であるのに対し,イルフォードMG-IVは緑までは感度のある「オルソタイプ」である。ただし,黄から橙,赤への感度はほとんどない。
さて,実際はどうだろう?
近所の公園などでは,ちょうどツツジの花が見ごろだ。これは,携帯電話機のディジタルカメラ機能で撮影したもの。
そのままグレースケールにすると,緑の葉と赤い花との明るさの差が小さかったのか,葉と花とが区別しにくい。花には白く写っている部分があるので,白いものがあるあたりが花だろう,という判断はできるのだが。
さて。本番。
まずは,ネオパン100ACROS (4×5判)で撮影したもの。カメラはいつもの「オクハラカメラ」(組立暗箱)。レンズは,FUJINON WS 210mm F5.6を使用,撮影時にフィルタは使用していない。ミクロファイン(1:1)で現像したものをスキャンして反転し,自動レベル補正をかけている。また,大きさをそろえるために,辺縁部を少しカットしてある。
花のトーンと葉のトーンが似たようなものになった。ネオパン100ACROSが,ほぼパンクロタイプのためだろう。ところで,ディジタルカメラで撮影した上のカラー画像では,花に白く写っている部分があることがよくわかるが,モノクロフィルムで撮ったこの写真にはそれがあらわれていないようだ。
つぎに,イルフォードMG-IV(カビネ判にカット)で撮影したもの。カメラとレンズは同じで,フィルタは使用していない。現像をほどよいところでやめられるよう,ミクロファイン(1:1)で現像している。スキャンして階調を反転し,自動レベル補正をかけた。その後,左右を反転しネオパン100ACROSでの撮影範囲と同じくらいになるようにトリミングをおこなっている。
おや?花が明るく写っているではないか。
これはどうしたことか。
イルフォードMG-IVは「オルソタイプ」だから,赤い花に対しては感度がなく暗く写り,相対的に緑の葉が明るく写ることを期待していたのだが,逆になっているではないか。もしかすると,ツツジの花は単純な赤ではなく,目ではわかりにくい複雑な色をもっているということだろうか。
つまりは,イルフォードMG-IVとネオパン100ACROSにくわえて,フジブロWPでも同じように撮影して比較するべきだった。ということだ。
加えて,ネオパン100ACROSでの撮影で,赤フィルタやオレンジフィルタをかけて比較する必要もあったかもしれない。また,印画紙では紫外線の領域にも感度がありそうなので,印画紙での撮影時にはUVフィルタを使うべきかもしれない。
*1 富士フイルムのあゆみ - 「品質第一主義」を貫く (富士フイルム)
→http://www.fujifilm.co.jp/history/dai1-06.html
*2 ネオパンSS (富士フイルム)
→http://fujifilm.jp/support/filmandcamera/download/pack/pdf/datasheet/ff_neopanss135_001j.pdf
*3 ネオパン100 ACROS(135) (富士フイルム)
→http://fujifilm.jp/support/filmandcamera/download/pack/pdf/datasheet/ff_neopan100acros135_001.pdf
*4 JANコード/価格表 黒白フィルム (富士フイルム)
→http://fujifilm.jp/personal/jan/monochrome.html?pSch501010101
*5 JANコード/価格表 カラーネガフィルム (富士フイルム)
→http://fujifilm.jp/personal/jan/color.html?pSch501010112
*6 JANコード/価格表 リバーサルフィルム (富士フイルム)
→http://fujifilm.jp/personal/jan/film.html?pSch501010110
*7 フジブロWP (富士フイルム)
→http://fujifilm.jp/support/filmandcamera/download/pack/pdf/datasheet/ff_fujibrowp_001.pdf
*8 マルチグレードIV RCデラックス (イルフォード)
→http://www.ilfordphoto.jp/products/datasheet/MG4RCDX.pdf
← 前のページ | もくじ | 次のページ → |