2013年12月26日(木) 天気:曇のち雨
ジャンクコーナーから救出したF80 ジャンク品はやはりジャンク品だった…
1つの一般的な傾向としては,旧モデル商品は大幅に値引きされることがあり,あたらしい商品ほど高く売られる。中古品でも似たような傾向があり,同じクラスの製品であれば,3年前のモデルは5年前のモデルよりも高く売られる傾向がある。
ただし中古品になると,そこに「人気」という要素が大きくはたらくようになる。
基本的に中古品は,「次はいつ入荷するかわからない」ものだ。大量に流通した製品の中古品は,中古品販売店でよく見かけるが,それでもメーカーに発注すれば納品してくれるという性格のものではないから,店頭から消えれば,次はいつ入荷するかわからないのである。だから,中古カメラを買う人には,次の言葉を贈りたい。これを「中古カメラ道・心得の条」と呼ぶことにしている(2006年2月19日の日記および2010年2月5日の日記を参照)。
一、中古物件は一期一会。
一、自分が欲しい物は他人も欲しい。
一、買っても後悔、買わずとも後悔。
同じ後悔するなら、買って後悔しよう。
中古品の場合,ほとんど傷もなく動作にまったく問題がないうえに箱や付属品まですべてそろった「新品同様」のものから,見た目はかなり使いこまれていても動作には問題のないふつうの中古品,外見に傷があったり動作に一部問題点があったりするようなものまで,1つ1つ状態に差がある。それはもちろん,販売価格にも反映される。次に入荷するときは,もっと高価かもしれないし,もっと安価かもしれない。
なにか問題点があって安価に売られるものの究極は,「ジャンク品」というやつだ。中古カメラ店では,そういうジャンク品を専用のコーナーにまとめているケースもある。「カメラのキタムラ 可部店」は,そんなカメラ店の1つである。先日の日記では,オリンパスOMシリーズ唯一のオートフォーカス一眼レフカメラ「OM707」の輸出バージョンである「OM77AF」を救出したことを紹介した。そのときあわせて,もう1台のカメラを救出している。今日はそれを紹介しよう。
それは,ニコンF80である。
ニコンはいまでも,フィルムを使う一眼レフカメラをラインアップさせている。いまは最高級機としてのオートフォーカス機「ニコンF6」(*1)と,廉価版のマニュアル機「ニコンFM10」(*2)の2機種だけであるが,かつては高級機から初心者向けの機種まで,多くのモデルをラインアップさせていた。それらは順次モデルチェンジされながら,世代交代をしていっていた。ニコンF80は2000年に発売された製品で,ニコンのオートフォーカス一眼レフカメラの中級モデルとして位置づけられる,最後の製品となっている。
ニコンF80は以前に入手していた(2011年9月2日の日記を参照)ので2台目になるわけだから,無理に購入する必要もないのだが,これを救出したのには2つの理由がある。
1つめの理由は,このニコンF80につけられていた価格が,わずか500円だったこと。
2つめの理由は,このニコンF80が,ニコンF80Sだったことである。
ニコンF80には,F80DとF80Sの2種類がある。F80Sは,F80Dの機能にくわえて,フィルムのコマ間に撮影データを記録できるようになっている。ちなみに以前に入手していたニコンF80は,画面内に撮影日時を写しこめるだけの,F80Dのほうだった。
さて,いかにフィルムカメラの価格が崩れているとはいえ,ニコンF80Sが500円というのは,あまりに安い。オリンパスOM77AFが500円というのは,電池ボックスのふたが破損していることから当然の成り行きと言えるだろうから納得できたし,案の定,動作における問題点はそこだけであった。一方,ニコンF80Sの外見上の問題点としては,ファインダーも汚れておらず,表面に貼られたゴムがべたつきはじめていることくらいしか見当たらない。もしかすると,撮影に必要な動作に重大な問題が生じているのかもしれない。だが,コマ間に撮影データを写しこめる裏蓋だけでも使えればありがたい。そう考えて,救出することにしたのである。
さて,帰宅して電池を入れて動作させてみたところ,シャッターはちゃんと動くし,オートフォーカスも問題なし。液晶表示などにも問題は見られない。ということは,いちばんの目的である,コマ間に撮影データを写しこめる機能に問題があるからジャンク品になっていたということだろうか?
これは,実際に撮影して確かめるしかない。
おお,撮影データがちゃんと写しこまれているではないか!撮影データといっても,シャッター速度,絞りと露出補正の値だけである。あまり役に立つとも思えないが,これはこれでおもしろい機能である。それでもディジタルカメラで撮影した画像に記録される情報にくらべれば,じつにシンプルなものだ。
コマとコマの間にデータが写しこまれるのは,撮影した被写体に影響しないので好都合である。だから露出データにくわえて撮影日時が記録されると,かなり役に立つと思う。だが,問題もある。この位置に写しこまれると,フィルムをカットするのが難しくなるのだ(笑)。
さて,どうやら500円のニコンF80Sの問題点は,ボディに貼られたゴムの劣化だけのようだ。これは,じつにいい買い物だった,と思ったとき,重大な問題があることに気がついた。画面内に写しこまれる日付の文字が,乱れているのである。やはり日付も,コマ間に写しこまれるようにしておいてもらいたかったものだ。
ともあれ500円というのは,日付写しこみ機能が正常には使えないということで,それなりの適正価格だったということか。
Nikon F80, AF NIKKOR 20mm F2.8S, NEOPAN100 ACROS
*1 F6 (株式会社ニコン)
→http://www.nikon-image.com/products/camera/slr/film/f6/
*2 FM10 (株式会社ニコン)
→http://www.nikon-image.com/products/camera/slr/film/fm10/
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