撮影日記


2011年12月31日(土) 天気:曇

2011年にお迎えしたカメラたち

早いもので,もう2011年も終わろうとしている。結局,年内には,MEPROZENIT EとMEPRO KOMINAR 55mm F2.8でなにも撮ることができなかった。
 ともあれ今年も,写真・カメラに関してはいろいろなことがあった。私に直接かかわることとしては,「シグマ広島」から「リバーサルフィルムの現像処理を終了」する旨の連絡があったことからはじまった。1月19日のことである。このラボでは,つい1年前まで,リバーサルフィルムの現像処理がおこなわれていたのである。当たり前だった「現像インフラ」が,もう遠い過去のものに思えてしまう。
 広島から,いわゆる「プロラボ」がつぎつぎに撤退していくなかで,「シグマ広島」での現像処理が続いていたのは,じつにありがたいことであった。世間が「ディジタル化」するなかで,「シグマ広島」には,あるアパレルメーカーが,フィルムにこだわる大口の顧客として残っていたという。そのメーカーでは,広告用の写真を撮影するためにディジタル化したスタジオを用意したが,当時のシステムでは必要な「色が出ない」という問題があったそうだ。多色展開がセールスポイントの1つだったようなので,それは重大な問題である。ただ,そんな話を聞いたのは,何年前のことだっただろうか(2006年12月13日の日記を参照)。
 この年末に別の筋から聞いた話では,そのアパレルメーカーも結局「ディジタル化」して,フィルムを使わなくなったという。

7月には富士フイルムが「APSフィルム」の販売終了を発表し,9月にはコダックの経営危機が囁かれた。全体として,フィルムの消費が少なくなっているのである。もっとも,ここ10年たらずのうちにフィルムの出荷が1/10以下になってはいるが,それでもまだ1年間で数千万本単位での需要がある。まだ,「フィルムを使いたい」と考えている人は,少なくないのである。また,フィルムを使うカメラの新製品がほとんど出なくなった状況ではあるが,出荷されたカメラはまだこれから何年も故障せずに,使うことができるだろう。数が少なくなったとはいえ,まだまだカメラ店では中古カメラも流通している。
 すっかり前置きが長くなったが,要は今年も,結局,何台かのカメラが,私の手もとにやってきたのである。それらを簡単に,ふりかえってみよう。

今年,経営に関して話題にあがったカメラ・写真関係メーカーは,コダックだけではない。粉飾決算や内紛に揺れたオリンパスの話題も,まだ記憶にあたらしい。もっともオリンパスの場合,現在の収益の柱は,医療機器のようだ。そしてその本業は,悪い状況ではないというから,コダックの問題とはまた違う。
 粉飾決算で,少しダーティなイメージがついてしまったオリンパスだが,カメラに関心をもっていた人には「いいカメラをつくるメーカー」というイメージが強かったはずだ。オリンパスのそういうイメージを築いたカメラとしては,ハーフサイズのオリンパス「ペン」や,システム一眼レフカメラである「OMシリーズ」がある。それらにくらべれば目立たない存在であるが,オリンパス「トリップ35」というカメラも,忘れてはならない。

「トリップ35」は,「ペン」ほどのエポックメイキングなカメラではないし,「OMシリーズ」のようなマニア向けの製品でもない。むしろ,低価格の一般向けのカメラである。また,派手なセールスポイントも見当たらない。しかし,「安い」「簡単に使える」「よく写る」カメラだったのである。「ペン」をライカ判にしたような,そんなカメラといってもよいかもしれない。古くからカメラを使っていた人になじみやすいスタイルだったせいか,日本カメラショーの「カメラ総合カタログ」にも1985年ころまで掲載された,ロングセラーモデルになっていた。これを名機とよばないわけには,いかないだろう。
 このカメラは,ジャンク品として入手したが,内部をちょちょっといじると,ちゃんと動作するようになった(2011年03月20日の日記を参照)。

オリンパス「ペン」のライバル的存在といえば,リコー「オートハーフ」であろう。その初代機をいただいたのだが,残念なことに露出計が弱っていた(2011年08月24日の日記を参照)。なんとかしてやりたいと思いながら,まだ手をつけていない。このリコー「オートハーフ」は,私にとって2台目の「オートハーフ」である。人気もあり,流通する数も多いと思われる「オートハーフ」をまだあまり入手していないのは,ほかでもない。人気があるということは,流通する価格が比較的高いのである。ジャンク品ですら,けっこう「よい値段」がついていることがある。先のオリンパス「トリップ35」も同様であるが,「カメラのキタムラ」の「(ジャンク品)均一価格」に救われたのであった。

オリンパス「ペン」やリコー「オートハーフ」の時代は,ハーフサイズカメラのブームであったともいえる。その後,いちどは下火になったハーフサイズだが,1980年代後半になって,ふたたびハーフサイズカメラのブームが訪れた。その嚆矢といえるのは,京セラ「サムライ」である。「サムライ」は,「ズームレンズ内蔵」の「オートフォーカス」カメラで,いちおう一眼レフ形式になっていた。「サムライ」は,「ブリッジカメラ」ともよばれる,ズームレンズ固定式のフルオート一眼レフカメラの嚆矢でもあった。「サムライ」にもいくつかのモデルがあるが,この夏,たまたまリサイクルショップのジャンクコーナーから救出したのは,コンパクトになった「サムライZ2」である。救出にかかった費用は100円だったが,残念なことにレンズに激しくカビが生じている。この部分は,接着して製造されているようで,分解して清掃することができそうにない。修理を前提に考えられていないという意味で名機とは呼び難いが,「サムライ」も1つのエポックメイキングなシリーズなので,忘れるわけにはいかないだろう。

一眼レフカメラも,何種類か入手している。
 私がはじめて自分のものとして使うようになった一眼レフカメラは,ニコン「FM」である。当時,キヤノンやミノルタが,シャッター速度優先や絞り優先のAE一眼レフカメラをいろいろと発売し,さかんに宣伝されていた。だから,私も電子制御シャッターでAEの使えるカメラがほしかったのだが,残念ながら,ニコン「FM」だったのである。もっとも,あとになれば,ニコン「FM」のような機械制御のマニュアル式カメラのほうが,マニアックであり,飽きがこずに長く使える,使っていて楽しいカメラであることがわかるようになるのだが。
 だから,「同時に種類の違うフィルムを使い分ける」ために,2台目の一眼レフカメラを買おうと思ったとき,まっさきに候補にしたのは,ニコン「FE」だったのである。だが,あれやこれや探し,考えて,結局お迎えしたのはニコン「F-801」だった。その後,ニコン「F3」やニコン「F」など,どんどんとカメラが増えていくのであったが,なぜかニコン「FE」を後回しにしてしまっていたのである。
 だから,ニコン「FE」は,私にとってほんとうに「ようやく」入手できたという感が強いのである。しかも,なんとなく憧れていた(だが,冷静になって考えればあまり意味のない)データバック付きである(2011年04月07日の日記を参照)。

そのほか,ニコン「FM10」,ニコン「Us」なども入手しているが,これらは機会をみて紹介していきたい。また,ミノルタ「SRT101」と同時に入手した「MC W.ROKKOR-SG 28mm F3.5」については,試し撮りをしたいと思いながら,まだフィルムを装填してもいない。
 とにかく,「写真を撮る」という習慣的行動を取り戻さなくてはならぬ。
 撮影したものの,まだ現像していないカラーネガフィルムが何本かある。カラーネガフィルムは,「ナニワカラーキットN」を使って処理するようにしているのだが,それを利用して500mLの処理液をつくると,35mm判24枚撮りフィルムで10本を処理することができる。ところがつくってしまった処理液の寿命は,1週間ほどとのこと。つまり,処理能力いっぱいのフィルムを用意してからでないと,現像処理をしたくないのであるが,写真を撮るペースが落ちているので,撮影済みフィルムもなかなかたまらない。

ということで,来年の目標は「とにかく写真をたくさん撮る」ことにしよう。もちろん,カメラやレンズの保護も,続けていくつもりである。
 今年も「撮影日記」のご愛読に深く感謝するとともに,来年もよろしくお願い申しあげたい。


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