撮影日記 |
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2011年10月30日(日) 天気:雨いまさらだが,二眼レフのススメ「いい写真」とはなにか。簡単に定義できるものではないが,とりあえず「きれいな写真」であることは,「いい写真」であることの基本的な要素の1つではないだろうか。「きれいな写真」がもつ基本的な要素にもいろいろなものがあるわけだが,ピントがあうべきところにきっちりあっていて,そこがシャープに見えていることは,1つの重要なポイントだろう。このとき,ネガなどの原版からプリントをつくるときの拡大率があまりに高いと,シャープに見えるべきところがどうしてもぼんやりしてしまう。 そもそも,「二眼レフ」カメラとはなにか。 下側のレンズは,フィルムに結ぶ像を得るためのものである。上側のレンズは,ファインダーに結ぶ像を得るためのものである。 つまり,2つのレンズと反射機構とがあるから,「二眼レフ」カメラなのである。 さて,個人的に感じる,二眼レフカメラの魅力はなにか。 まず,縦に長い,その独特のスタイルがある。 さらに,中判カメラであることは,大きな魅力である。二眼レフカメラは,120フィルムに6cm×6cmの大きさの画像を得ることができる。35mm判カメラだと,得られる画像の大きさは24mm×36mmなので,面積比で約4倍の大画面だ(二眼レフカメラの場合,実際の画面サイズは56mm×56mmくらいになるので,4倍よりも小さくなる)。 二眼レフカメラが比較的安価に流通しているのは,その数が多いことがなによりも大きく影響しているだろう。また,そもそも安価な製品だったものも多い。さっそく,中古カメラ店を覗いてみるとよい。高級機やプロ用として流通していたものや,数の少ないレアものなどであれば,5万円,10万円,あるいはそれ以上のよい価格がつけられているだろう。だが,リコーフレックス,ヤシカフレックス,ビューティフレックスなどのように,低価格をセールスポイントにして爆発的に売れた製品は,状態にもよるだろうが,かなり安価な価格がつけられているはずだ。 それらの二眼レフカメラも,どれも同じように低価格だったというわけでもない。少しずつ仕様を変えて,他社の製品よりも少しは高級である,ということをセールスポイントにしたように思われる製品もある。
二眼レフカメラの全盛期だったといえる昭和30年前後,国産の高級なシャッターとして,「セイコーシャ・ラピッド」というものがあった。低速側は1秒から,高速側は1/500秒まで対応しており,1/25秒から1/200秒くらいまでしか対応していないようなシャッターとは,明らかに一線を画していたのである。たとえば,低価格をセールスポイントとしてきたリコーフレックスでも,自社生産の簡素なリケンシャッターを搭載したモデルより,セイコーシャ・ラピッドを搭載したモデルのほうが,はるかに高い価格がつけられていたのだ(2007年8月16日の日記を参照)。 ところで,「セイコーシャ (SEIKOSHA)」とは「精工舎」である。「精工舎」は,1930年からカメラ用のシャッターの製造をはじめており,その製品は,日本を代表するシャッターの1つであったのだ。しかし今,「精工舎」といえば,たぶん時計のほうが有名だろう。「世界のSEIKO」というとき,それはカメラのシャッターではなく,時計のほうを意味しているのは,まあ間違いあるまい。 |
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