撮影日記


2026年02月11日(水) 天気:曇

接写リングは面倒くさい

写真用交換レンズには,基本的にピントリングというものがある。これを回すことで,ピントを調整する。一方にめいっぱいまわすと,無限遠にある被写体にピントがあう。なかには,ピントリングをいっぱいに回すより手前で無限遠にピントがあうようになっているレンズもあり,そのようなレンズは「無限遠が浮いている」とよばれることもあるが,ともかくピントリングのあるレンズは基本的に,無限遠にはピントがあうようにできているものである。もちろん,無限遠にはピントがあわないようにできている例外なレンズもある(2022年7月24日の日記を参照)が,そのような特殊なレンズのことには,ここではふれない。
 遠くの被写体については,どこまで遠くのものにでもピントがあうようにできていても,近くの被写体については,そうはいかない。基本的にレンズを繰り出し,フィルムや撮像素子から離していくほど近くの被写体にピントがあうようになっているが,どこまでも無制限に近くまでピントがあうようになっているレンズはない。一般的なライカ判サイズのカメラにおける,標準レンズとよばれる焦点距離が50mm程度のレンズの場合,最短撮影距離は0.5m前後であることが多い。ずっと被写体に近接して,フィルムや撮像素子に実物と同じ大きさの像を結ばせる等倍撮影に対応した接写用のレンズは,マイクロレンズやマクロレンズなどという名称で発売されている。
 そのようなレンズを使わずに,お手軽に接写をするための部品としては,クローズアップレンズや接写リング(エクステンションチューブ)などがある。クローズアップレンズは,レンズの前に取りつける凸レンズである。接写リングは,カメラボディと交換レンズの間に取りつけるリングである。レンズをさらにフィルムや撮像素子から遠ざけることで,もともとのレンズの最短撮影距離よりもずっと近くにある被写体にピントをあわせることができるようになっている。

Exakta用のTessar 50mm F2.8の最短撮影距離は,1.75 feet,およそ0.5 mである。より被写体に近づいて接写をするときには,接写リングを併用することになる。この接写リングには「Ihagee Dresden」のロゴが入っており,Exakta用の純正アクセサリーであると思われる。

シンビジウムに,つぼみがついていた。SONY α7にExakta用のTessar 50mm F2.8を装着した場合,およそ0.5 mは離れて撮ることになる。

SONY α7, Tessar 50mm F2.8, Extension Tube

つぼみのついている株全体を撮るには手ごろであるが,つぼみの部分だけを撮りたいならば,もっと被写体に接近する必要がある。そこで,接写リングを併用することにした。この接写リングは,厚みの異なる5つのリングを組みあわせて使うようになっている。

マウント部分のある両端の2つだけを使った場合は,接近できる量が最小になる。5つすべてをつないで使うと,もっとも接近できることになる。Tessar 50mm F2.8で5つをつないで使うと,ピントリングを無限遠にしたときに,撮影倍率がおおむね等倍になる。

SONY α7, Tessar 50mm F2.8, Extension Tube

つぼみ全体を撮りたいのであれば,これでは接近しすぎである。
 そこで,いちばん長いリング(「Ihagee Dresden」のロゴが入っているリング)をはずして残りの4つを連結したところ,つぼみ全体をほどよく切り取ることができる大きさに写すことができた。

SONY α7, Tessar 50mm F2.8, Extension Tube

このようにリングを組みかえることで,さまざまな撮影倍率に対応できるようになっている。しかし,接写リングを併用したときには,ピントリングを回すだけで調整ができるピントの範囲がごく狭いものになる。撮影倍率が意図したものにならず,大きく変更しようと思ったときには,リングを組みかえる必要がある。無限遠から等倍までピントリングを回すだけで済むような,マイクロレンズ(あるいはマクロレンズ)にくらべると,大幅に面倒であることは間違いない。また,マクロスライダーを併用したいところである。


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