撮影日記


2024年01月01日(月) 天気:晴

近鉄に乗って大阪から京都へ

2024年がはじまった。
 かつて,「2000年問題」というものが話題になったことがある。これは,コンピュータシステムに大きなトラブルが発生するかもしれないとされたものである。古いシステムでは「年」のデータを下2桁だけで扱っていたものが多く,そのままでは重大なエラーの発生が懸念されたものだ。それを回避するためにいろいろな修正などがされてきたが,その修正に誤りがあると,やはりエラーにつながってしまうかもしれない。それがインフラを支えるシステムで発生すると,社会に大きな影響が出るかもしれない,という問題であった。
 そしていま,「2024年問題」というものが話題になっている。法律の改正によって時間外労働の上限が厳しくなることで,長時間労働ができなくなることによるものだが,とくに運輸業での影響が大きいとされている。2024年3月以降,これによってトラックの運転手が大幅に不足することが懸念されている状況である。これはトラックにかぎった問題ではないようで,バスの運転手も不足している状況とのことだ。昨年9月に,大阪府南部に路線を展開している「金剛バス」が廃業を発表した(*1)。採算性のよくない路線を廃止するというニュースは珍しくないが,路線バス事業をまるごと廃業するというニュースの衝撃は大きい。事業そのものを廃止する理由として,「売上の低下」のほかに「乗務員の人手不足」をあげているのが,大きな特徴だといえるだろう。
 個人的に,金剛バスを利用する機会は多くない。それでも例年,初詣をする「叡福寺」を訪れるときには利用してきた。近鉄長野線の喜志駅と,南大阪線の上ノ太子駅とを結ぶ路線が,叡福寺の前を通るのである。つまり金剛バスの廃業は,個人的にも影響がある。叡福寺と近鉄電車の駅までの距離は,決して近いものではない。喜志駅には15分おきに電車の便があるものの,そこまでは4km以上の距離がある。上ノ太子駅には,住宅団地が開発されて近道ができたとはいえ2km以上の距離があるし,上ノ太子駅を発着する電車の便は,休日のお昼ころだと30分に1本しかない。だから,バスを利用できるならばバスを利用したい。そこで廃業後のバス路線はどうなるのかということに注目してきたが,喜志駅とを結ぶ路線は近鉄バスが引き継ぎ,上ノ太子駅とを結ぶ路線は太子町によるコミュニティバスによって確保されることがわかった。これまで1つのバス路線だったところが,2つに分割された形になったわけである。不便にも見えるが,それぞれ1時間に1便くらいは確保されるようなので,じゅうぶんに実用になる。詳しい情報は,太子町のWebページで提供されている(*2)。

そこで今日は,上ノ太子駅からのコミュニティバスと,喜志駅からの近鉄バスの両方を利用してみることにした。

上ノ太子駅前からのコミュニティバス「たいしのってこバス2号車」上ノ太子駅町内周回線は,いわゆるマイクロバスが使われている。ナンバープレートが「わ」なので,とりあえずいまのところはレンタカーを使っているようである。上ノ太子駅南側を出てすぐの場所から発車する。運賃は200円で,乗車時に「降りる予定のバス停を告げて」支払うようになっている。運転席のすぐ横に料金箱が置いてあり,支払に交通系ICカードは使えないようである。また,車内に両替機のようなものの設置も見あたらない。乗車前に小銭の用意は必須であろう。もしかしたら,運転士さんが対応してくれるのかもしれないけれど,それは未確認である。参拝時のお賽銭用にじゅうぶんな量の小銭を用意していたので,今回は問題なかった。
 上ノ太子駅前から叡福寺までは,歩いてもさほど問題なさそうな距離に見える。道にはじゅうぶんな幅の歩道もあるが,地形的にはわりと急な山を越えることになるので,バスが利用できるならば利用するほうがよい。バスに乗れば,叡福寺の最寄のバス停である聖徳太子御廟前までは10分もかからない。

今日はよく晴れており,寒さも少しばかり緩んでいる。「1月1日は聖徳太子様のご誕生の日」として,お茶を手向けられるようになっている。

TAKARA-TOMY 3D ShotCam

参拝を済ませ,およそ1時間後のバスで,こんどは喜志駅に向かう。こちらは,近鉄バスの喜志循環線となる。使っているバス自体は近鉄バスの車両なので,車内に両替機があるのはもちろんのこと,以前の金剛バスの車両とは違って,運賃の支払いに交通系ICカードを使うこともできる。
 なお,「聖徳太子御廟前」のバス停は,以前とは少し位置が変わっているので,(事前にバスの変更について調べておらず)久しぶりに訪れた人は,少しばかり迷っていたようである。
 一方の喜志駅前については,以前と同じところから発着するようになっている。

今日の移動には,近鉄の「新春おでかけ京阪奈1dayパス」というフリー切符を使っている。大阪府,京都府および奈良県内の近鉄全線に,「(12月31日から1月8日の間の)乗車当日限り」乗り放題という切符であるが,「12月31日に使用開始の場合は,翌日1月1日まで有効」となっている。つまり,昨日,生駒山上遊園地に行ったときに使った切符である(2023年12月31日の日記を参照)。叡福寺を訪れたことですでに「元はとった」状態であるが,まだ時間はある。そこで,京都まで足をのばしてみることにした。橿原神宮前駅からは京都駅行きの急行に乗れば,70分ほどで到着する。大阪市内から京都へ行くときは,梅田へ出てJRまたは阪急を利用するのが一般的だから,京都へ行くために近鉄を利用するのは,個人的にははじめてのことである。
 橿原神宮前駅のなかは,おそらく初詣客と思われる人で混雑していたが,電車はさほど混雑していなかった。それでも京都駅に近づくにつれてしだいに混みはじめ,大きなスーツケースをもった人の姿も増えてくる。そして到着した京都駅は,外国からの観光客と思われる人の姿も多く,さすがは日本有数の観光地の玄関となる駅だけのことはある,という印象である。
 この夏に京都を訪れたとき,「本願寺伝道院」という建物が気になったので,建物の写真を何枚か撮った(2023年8月26日の日記を参照)。しかし,その周囲の柵につけられた像を撮り忘れていたので,本願寺への参拝を済ませたあとに,そこだけあらためて撮ってみたかったのである。

TAKARA-TOMY 3D ShotCam

京都駅を15:01に発車する,橿原神宮前駅行きの急行に乗っても,橿原神宮前を経由して近鉄だけを利用した場合,大阪市内の家に帰りつくのは17:30くらいになる。ざっと2時間半ほどかかることになる。JRを利用して梅田を経由して帰れば1時間半くらいで済むので,所要時間は2倍まではいかないものの,この差はかなり大きい。だからふだんは,こういうルートを使うことはないのである。
 帰路の電車は,とても空いていた。ところが,大和八木駅を出発し八木西口に着いたところで,自分の携帯電話を含めて車内に大地震を知らせる緊急警報の音が鳴り渡る。地震が発生したのは,能登半島のほうであることがわかった。すると,電車ごと大きく揺れはじめた。電車が走行中でなく,駅に停車してドアが開いていた状態であったのは,幸いだろうか。電車はしばらく発車を見合わせたが,結局は「安全確認のために速度を落として運転します」とのことで,数分遅れた程度で済み,電車の乗り継ぎに問題はなく,予定通りに帰宅することができた。

そのあとは阿部野橋へ出直して友人と会い,いろいろとおもしろいネタをいただいた。これはまた,別の機会にまとめることにする。
 そしてまだ,今日の最終電車までは時間がある。さいごに,阿部野橋界隈の夜景を撮ってみようと考えたが,TAKARA-TOMY 3D ShotCamは輝度に差がある被写体を記録するのは苦手なようである。この時間帯になるとさすがに,人通りはごく少ないものになっている。

TAKARA-TOMY 3D ShotCam
*1 バス事業廃止のお知らせ (金剛自動車株式会社) ※Wayback Machineのデータ
https://web.archive.org/web/20230911064057/http://kongoujidousha.com/pkobo_news/upload/78-0link_file.pdf

*2 太子町内を走るバスの時刻表(令和5年12月21日〜) (大阪府太子町)
https://www.town.taishi.osaka.jp/busyo/seisakusoumubu/hisyoseisakuka/taisityoutiikikoukyoukoutuu/
taishikoukyoukoutu/5344.html


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