撮影日記


2023年06月04日(日) 天気:晴

AEは楽だが電池が切れる

使用期限が2005年になっている「業務用フジカラー100」の消費をすすめている。今日の気分は,旧式のオートニッコールレンズを使いたい。これらをAEでお手軽に使える機種は,かぎられている。とくに(レンズがAi方式に改造されていないかぎり),プログラムAEで使える機種は発売されていない。そんなときに役に立つのが,Aiカプラを撤去する改造を施した,Nikon F-501である(2015年3月18日の日記を参照)。Aiカプラを撤去したことで,Ai方式以前のニッコールレンズを装着できるようになった。そのかわり,Ai方式のレンズを装着しても開放測光はできなくなっている。ところが,Nikon F-501でのAEは,開放測光ではなく瞬間絞り込み測光である。そのため,ファインダー内の露出計が示すシャッター速度の値はまったくあてにならないが,とりあえず適正な露出が得られるのである。どんなシャッター速度や絞りが使われるのかまったくわからないが,旧式のオートニッコールレンズでの撮影をプログラムAEで楽しむことができるのである。
 使用しているフィルムは,有効期限を大幅に超過(18年)したものである。ここで使ったものは比較的状態が悪くないようで,少なくとも周縁部のカブリが感じられない。EPSON GT-9800でスキャンして取り込むときに,自動調整でも無難そうに見える画像が得られている。現像処理は,開封してから時間が経っている,ペーパー用のエクタカラーRAでおこなった。

まず,使ってみたいレンズは,NIKKOR-S Auto 5.8cm F1.4である。ニコンF用にはじめて用意された,開放F値がF1.4の明るい標準レンズである。ライカ判カメラの標準レンズは焦点距離が50mmのものが一般的なので,標準レンズとしては少しばかり焦点距離が長い。発売された期間は2年ほどで,50mm F1.4のレンズにモデルチェンジされている。

Nikon F-501(改),NIKKOR-S Auto 5.8cm F1.4,FUJI 100

夕方の低い光線で撮ると,なんでも無条件に「絵になる」ように感じてしまう。もちろん,実際に「絵にする」ことは難しいことなのだが,ついついレンズを向けてレリーズしたくなるものである。
 こういう場面では,彩度を落としてグレースケール化し,そのうえでコントラストをあげたくなることが多い。ここでは安直にシルエットにしてしまわないよう,逆に彩度をあげてみている。

Nikon F-501(改),NIKKOR-S Auto 5.8cm F1.4,FUJI 100

市街地を歩きながら,気になったものにレンズを向けレリーズをする。こういう撮り方をするときには,絞りやシャッター速度をあまり意識する必要のないプログラムAEが快適である。大幅に期限を超過しているフィルムを使っているため,感度の設定を低め(ここではISO 40相当)に設定し,露出オーバー気味に撮影している。そのためかあまり絞り込まれていないようで,中心になる被写体がほどよく浮き上がって見えるように感じる。

Nikon F-501(改),NIKKOR-N Auto 24mm F2.8,FUJI 100

西に向かって歩いていると,色あせた「JCB」の看板が目に入ってきた。この看板は,ここがそれなりの高額商品を扱っていたお店だったことを主張しているかのようである。低くなった太陽光がこの看板を透過光として照らしているが,それがかえって色あせた状況を強調しているようである。

じつはここまで歩いてきて,電池が切れてしまった。Ni-MH電池を使っていたので,少しくらい休ませたところで,もうカメラは動かない。こんなときにかぎって,予備の電池を用意するのを忘れている。また,近くに100円ショップも見あたらない。こうなると,カメラとレンズはただの重い荷物になってしまう。


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