撮影日記


2018年12月23日(日) 天気:曇

マミヤZE用レンズをディジタルカメラで使いたい

マミヤZEシリーズは,マミヤが発売したさいごの35mm判一眼レフカメラのシリーズである。シリーズは短命に終わってしまったが,用意されていた交換レンズには,きわめてシャープな描写を示すという印象がある。MAMIYA-SEKOR ZOOM E 28mm-50mm F3.5-F4.5は,28mmをカバーするズームレンズとしては比較的初期のものである。また,カメラボディとセットで販売された広角ズームレンズとしても,嚆矢となる存在だ(2007年5月11日の日記を参照)。そして,シャープな描写を示してくれるレンズの1つでもある。
 マミヤZEシリーズのレンズマウント部には,多数の電気接点が設けられている。そして,ボディとレンズとのあいだのさまざまな情報伝達に利用されている。電気接点には未使用のものがあり,そこを利用したオートフォーカス一眼レフカメラの試作がおこなわれていたそうだが,商品として発売されるには至らなかった(2012年10月7日の日記を参照)。
 その後,マミヤは中判カメラのみを発売するようになる。
 マミヤ645で使用するためのディジタルバックや,マミヤZDという中判ディジタル一眼レフカメラも発売されるが,35mm判一眼レフカメラに相当するタイプのディジタルカメラが発売されることは,なかった。そして,2015年12月1日にPhase One Japan株式会社が,マミヤ・デジタル・イメージング株式会社の光学機器事業をひきつぐことになり,カメラ業界から「マミヤ」という名前が使われることがなくなった(2016年9月22日の日記を参照)。

つまり,個人的に高く評価をしたいマミヤZE用のレンズを使えるディジタルカメラが,発売されていないのである。
 どうしてもマミヤZE用のレンズをディジタルカメラで使いたいならば,マウントアダプタに期待するしかない。キヤノンEOSのボディで利用するためのマウントアダプタをご提供いただいたものの,フランジバックをあわせるためにテレコンバータが内蔵されており,そこで盛大にフレアが発生しやすいという問題がある(2017年1月21日の日記を参照)。そのため,私は満足していない。

マミヤZE用のレンズには,じつは大きな問題がある。
 マミヤZE用レンズは,ZEボディに装着していないときは,つねに最小絞りになっている。絞りリングがあるが,これは絞りの動きに機械的な制約を与えるものではない。ボディに伝達する絞りの情報を示す電気信号を選択する機能だけをもっている。


だから,マミヤZE用のレンズを使うためのマウントアダプタを実現するには,絞り制御レバーを任意に動かすための機構が必要になる。その機能を設けるために,マウントアダプタはどうしても厚いものになる。キヤノンEOSのボディでマミヤZE用レンズを使うためのマウントアダプタが,テレコンバータを内蔵したものになっていたのは,そういう事情もある。
 だが,いわゆるミラーレスカメラであればフランジバックが非常に短いので,テレコンバータなどを内蔵させなくともマミヤZE用のレンズを使うためのマウントアダプタが実現できるのではないだろうか。しかしながら,そういった製品を見つけることができていない。そこで,既存のマウントアダプタを改造するなどして,マミヤZE用レンズを使うためのマウントアダプタが実現できないか,考えてみた。
 幸い,SONY αNEX-C3用のマウントアダプタならば,いろいろと入手している。
 絞りリングのないレンズを使うためのマウントアダプタには,絞りレバーを任意に動かせる機構が設けられている。入手しているものうちでは,ミノルタAFレンズ用のものとニコンGレンズ用のものに,絞りレバーを動かせる機構が設けられていた。だが残念ながら,どちらもやや厚みが過剰で,無限遠にピントがあいそうにない。

あらためてマウントアダプタを観察してみたら,キヤノンFDレンズ用のものにも絞りレバーを任意に動かすための機構が設けられていることがわかった。しかもキヤノンFDレンズならば,(ニコンGレンズは論外として)ミノルタAFレンズよりもフランジバックが短いわけで,無限遠にもピントがあうことが期待できる。

キヤノンFDレンズ用のマウントアダプタに,ジャンクのマミヤZEボディからはずしたマウントをパテで接着した。マミヤZE用のレンズを組みあわせてみたところ,いちおう形になった。

ボディにつけて遠方にピントをあわせてみた。無限遠でも,ピントがあわせられそうである。いや,むしろ微妙にオーバーインフ(無限遠の指標よりずいぶんと手前で,無限遠にピントがあう状態)になっているようだ。

SONY αNEX-C3, MAMIYA-SEKOR ZOOM E 28mm-50mm F3.5-F4.5

ともあれ,キヤノンFDレンズ用のマウントアダプタを利用すれば,実用的なものになりそうである。


← 前のページ もくじ 次のページ →