撮影日記


2018年04月08日(日) 天気:晴れ

水には硬質な写りが似合う

ずっと以前に,Karl Storzの「593-T2」というレンズを入手した(2006年3月30日の日記を参照)。これは,内視鏡撮影用のレンズである。「593-T2」というのはこのレンズ単体の型番なのか,それともこのレンズが含まれるシステム全体の型番なのかは,わからない。また,「593-T2」だけで商品として成立していたのか,ある商品の中の部品の1つなのか,そのあたりもわからない。
 だが,1つの写真連として眺めると,とても興味深いものである。
 詳しいスペックはわからないが,焦点距離を70mm〜140mmに変えられるズームレンズになっている。そして,無限遠からかなりの近距離まで,ピントをあわせることができる。絞りはないが,口径の小さなかなり暗いレンズである。Tマウント交換式なので,さまざまなカメラボディで利用できる。
 一方で,焦点距離を短くすると,視野の四隅が大きくケラレるようになる(2016年5月12日の日記を参照)。この点にさえ気をつければ,「望遠系ズームマイクロレンズ」としても使えそうなレンズである。

このレンズを,Kodak DCS 460で使うことにした。
 Kodak DCS 460は,1994年に発売されたディジタルカメラである。正確には,Kodak DCS 460は撮像素子や画像処理をおこなうディジタル部分のユニットの名称であり,カメラ本体はNikon F90シリーズのボディを利用している。言いかえれば,Kodak DCS 460はNikon F90用のディジタルバックである,ということになる。裏蓋をKodak DCS 460に交換することで,Nikon F90はディジタル一眼レフになるのである。
 ともあれ,本体はNikon F90Xを使う(2017年11月8日の日記を参照)ので,「593-T2」のようにピンや電気接点などの連動機構をまったくもたないレンズを使うことに,問題はない。撮像素子はライカ判サイズよりも小さいので,Nikon F90Xのファインダースクリーンには,実際に写る範囲を示す枠がはいっている。そのため,焦点距離によってケラレるようすを確認しやすい。なにかと好都合なボディとなる。

Karl Storz 593-T2はかなり暗いレンズだが,幸いにも被写体には日光があたっていて,かなり明るい。Nikon F90Xのファインダーならば,じゅうぶん実用的に使える状況だ。

Kodak DCS 460, Karl Storz 593-T2

口径が小さいため,被写界深度は浅くない。一方で,虹彩絞りによって絞られているわけではないので,ボケが角ばったものにならず,円形を保っている。深い被写界深度と円形のボケを両立できるという点で,ユニークなレンズであるといえる。

Kodak DCS 460, Karl Storz 593-T2

レンズの本体に記された焦点距離の値は70〜140であり,変化させられる範囲は広いものではない。しかも,100mmよりも短くすると,ケラレの影響に注意しなければならない。ごくかぎられた量の変化しかできないとはいえ,ズームレンズであることのメリットは大きい。構図の微調整には,じつに重宝する。

Kodak DCS 460, Karl Storz 593-T2

ここまでは,使わなくてもある程度は予想できることであり,実際にこれまで使ってきたことで確認できたことである。
 今日は,水滴がじつに硬質に写っていることに驚いた。まるで,ガラスの玉のようである。
 強い光線と,このレンズの描写のクセが,うまく組みあわさった結果であると考えてよいだろうか。


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