撮影日記


2017年10月22日(日) 天気:あめ

Nikon F90Xをニコイチ
非Aiレンズ専用ディジタル一眼レフカメラ

Nikon F90Xは,1994年に発売されたオートフォーカスの一眼レフカメラで,当時のラインアップでは上級機種という位置づけになる。フラッシュを内蔵していないが,高精度なオートフォーカス(ただし,ピントをあわせられるエリアは,中央の1点のみ),距離情報を加味した評価測光,最高速1/8000秒のシャッターなどの性能を誇る。発売から20年以上が経過し,ディジタル一眼レフカメラが主流になった今となっては,ジャンクコーナーでもよく見かけるような存在になった。
 一時期,部品を確保する目的などで,ニコンの一眼レフカメラのジャンク品をまとめて取り寄せたことがあった(2016年6月1日の日記を参照)。なんどか取り寄せた結果,Nikon F90Xのジャンク品が,2台になった。
 そのうち1台は,激しく腐食した電池が入ったままになっていた。腐食した電池を取り出して接点などを掃除し,あたらしい電池を入れても,電源がONにならない。内部の電子回路にも大きなダメージが生じているのだろう,完全なジャンク品だ。
 もう1台は,裏蓋のべとつきはひどいものの,動作に問題はない。ただし,AEロックレバーが失われている。

そこで,電源がONにならないほうのF90Xを部品取りのドナーとし,AEロックレバーを移設することにした。つまり,ニコイチするのである。
 Nikon F90Xのトップカバーをはずすには,まず,周囲に見えている7個のネジをはずす。さらに,電池ボックス内にある2個のネジをはずす。

これで,トップカバーをはずすことができる。本体とつながっているフレキシブル基板による配線を傷めないように気をつけながら,AEロックボタンを移設する。

これで,Nikon F90Xのニコイチ再生に成功した。
 しかし,動作するNikon F90Xは,すでに確保している。
 このNikon F90Xは,すこし改造する。

1962年に発売されたPC-NIKKOR 35mm F3.5は,ニコンFマウントの一眼レフカメラでシフトアオリ撮影をするためのレンズである。35mm判一眼レフカメラ用のレンズとしては,世界ではじめてのシフトアオリが可能なレンズとのことである。ただしこのレンズは,Ai方式以前のボディ(あるいはAi連動ピンが倒せるボディ)でなければ使用できないという制約がある。
 古いレンズではあるが,私はシフトアオリのできるレンズをこれ1本しか所有していない。だから,なんとかディジタル一眼レフカメラでも使いたいと考えていた。だが,Ai連動ピンや最小絞り検知ピンのあるボディには,装着することすらできない。私が所有するディジタル一眼レフカメラのなかでは,FUJIX DS-505Aのみが装着可能だが(2016年1月4日の日記を参照),内蔵された縮小光学系の影響で大きくケラレるために実用できない。Nikon D1のAi連動ピンや,Nikon D70の最小絞り検知ピンを破壊してしまえば,PC-NIKKOR 35mm F3.5を装着できるはずだ。だが,それには抵抗がある。

そこで,ニコイチ再生したNikon F90Xを利用する。
 このNikon F90XのAi連動ピンを破壊して,PC-NIKKOR 35mm F3.5を装着できるようにする。そしてこれを,Kodak DCS 460と組みあわせれば,PC-NIKKOR 35mm F3.5を利用できるディジタル一眼レフカメラが実現できるはずだ。万一,この組みあわせではレンズが実用できなかった場合など,元のNikon F90Xにもどしたい場合は,部品取りにしたNikon F90XからAiカプラを移植すればよい。

Aiカプラを破壊することで,PC-NIKKOR 35mm F3.5を装着できた。PC-NIKKOR 35mm F3.5はプリセット絞りで,自動絞り機構と関係しないから,内蔵の露出計を利用して絞り優先AE撮影も可能である。室内を適当に撮ってみたが,シフトアオリをしても,周囲が目立ってケラレるようなことはなさそうだ。どうやら,PC-NIKKOR 35mm F3.5を使用できるディジタル一眼レフカメラが,完成したようである。
 残念なのは,Kodak DCS 460の撮像素子がライカ判サイズではないこと。いわゆるAPS-Cサイズよりは大きいのだが,ライカ判の45mmレンズに相当するレンズとして使うことになる。だから,Kodak DCS 460にセットされていたNikon N90Sのスクリーンにあわせて,インスタントレタリングを使って枠をつくっておくようにしよう。

このようにしてディジタル一眼レフカメラでPC-NIKKOR 35mm F3.5を使えるようになったが,このレンズでなにを撮るかは,まだまったく考えていない。


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