撮影日記


2015年08月08日(土) 天気:晴

近くて遠い「稲生神社」

どこか特定の場所の写真を撮るときは,その近くに住んでいることがなによりも有利であろう。近くに住んでいれば,季節や天気や時刻を問わず,それぞれに応じたいろいろな表情を撮ることができる。撮影場所が遠いと,そういうわけにはいかない。遠くの名所に通うよりも,近くに被写体を見つけ出したいものである。
 しかし,近い場所は「いつでも撮れるだろう」として,油断してしまうことがある。また,歩いて数分程度という範囲をこえてしまうと,遠くに行くのとあまり手間がかわらない気がするようになる。「絶対にこれを撮る」という気構えがなければ,なかなか難しいことなのである。
 ずっと以前から撮りたいと思っていながら,結局これまでほとんど撮ったことのない場所として,広島市南区の稲生神社がある。稲生神社は「いなりじんじゃ」と読み,400年前の1619年に創建されたという(*1)。高層ビルに隣接した小さな神社だが,その神社そのものは2階建ての建物の屋上部分にある。階段には「お稲荷さん」らしく,多数の鳥居が立てられている。階段をのぼった先にある本殿にお参りする,という行為からは,一種の非日常感が得られることだろう。
 こういうおもしろい場所を写真に撮りたいと考えていたのだが,具体的にどう撮るかについてイメージできずに結局,撮らないままであった。この稲生神社は,広島市内中心部付近の,交通の便のよい場所にある。広島駅から遠くないし,広島電鉄の市内電車の停留所は目の前にある。だからいつでも訪問できそうだが,ふだんの行動エリアからはやや離れていることもあって,なかなか訪れる機会はない。大きなカメラバッグや三脚などをかついで市内電車に乗るのも気が引けるし,クルマを利用するならば市内中心部だから駐車場のことが気になってしまう。

自分にとっては「いつでも行けそうな場所」であっても,ほかの地域に住む人にとっては「この機会を逃すともう来ることはないかもしれない場所」だと感じることもあるだろう。今日は,東京からの友人が広島に来るというので,昼食から夕食を共にすることにした。以前であれば昼食は「中国飯店」に案内するのだが,残念ながらこのお店はなくなってしまった。そこで今回は,友人の希望もあって「ますゐ」に案内した。選んだメニューは,「サービスとんかつ」。いまどき,350円(税込)でランチが食べられるお店は,貴重な存在と言えるだろう。話のネタとしても,コストパフォーマンとしても,一度は選択しておきたいメニューである。
 そして,友人の希望で「稲生神社」へ向かった。ようやく,ここを撮る機会に巡りあったことになる。

ROLLEIFLEX Automat, Tessar 7.5cm F3.5, ACROS

高いビルにはさまれて窮屈な感じの稲生神社であるが,近づいて階段を見あげれば,そこは異空間への通路にも感じられることだろう。

ROLLEIFLEX Automat, Tessar 7.5cm F3.5, ACROS

ところで明後日は,「8×10判の日」「バイテンの日」(2013年8月10日の日記を参照)である。2日ほど早いのだが,それを先取りしようかと考えた。だが,友人と撮影して歩くだけではなく「ますゐ」で昼食を摂ることになるなら,あまり大きな荷物は持ち歩きたくない。そこで,「ミノックス判の日」(2012年8月11日の日記を参照)を先取りして,「アクメルMD」と「ヤシカ アトロン」を使うことにした。ただ,それだけでは寂しいので,さらにローライフレックスも用意していた。

こんどは「バイテンの日」として,稲生神社を訪れたいものである。

*1 稲生神社(いなりじんじゃ):見どころ (ひろしまナビゲーター)
http://www.hiroshima-navi.or.jp/sightseeing/rekishi_bunka/jishabukkaku/40885.php


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