2013年10月12日(土) 天気:晴
「練馬大根」を買いに行く 練馬はやはり遠かった
明日,明後日の仕事にそなえ,一足早く東京で朝を迎えた。10月だというのに,朝から暑い。前夜は,台風の名残か風が強く,そのせいか空は澄み渡っている。目の前に広がるのは秋のきれいな青空なのに,背中に突き刺すのは真夏の強烈な日差し。そんな感想を抱いた朝だった。外を歩くには,まだ日傘が必須である。
ところで東京ではなく,大阪について。
大阪というと「商業の街」というイメージが強いだろう。そうでなければ,大阪湾沿いの工業地帯やあるいは東大阪の町工場などのイメージから,「工業の街」というイメージを持つ人も多いかもしれない。だが,大阪には,農産物でも名品とよばれるものが多々ある。具体的には,大阪府が認定している「大阪産(おおさかもん)」(*1)の「なにわの伝統野菜」というカテゴリーを参照されたい。
「なにわの伝統野菜」の1つに,「田辺大根」というものがある。東住吉区の田辺付近で栽培されていたという品種で,もともとはカブのように丸みをおびたものが改良されながら,近年まで栽培されていたとのこと(*2)。一時期は栽培されなくなっていたものの,最近になってふたたび,栽培されるようになっている。
そんな田辺大根を利用したお菓子として,「松屋」というお店で「郷土銘菓 田辺大根」というものが売られている(*3)。手土産品として使ったことが何度かあるが,ダイコンの香りがほどよく,「大根風味のちょっと変わったお菓子」としてなかなか好評だった。ただしこのお店は,谷町線の田辺駅前。駅から至近距離なのはいいのだが,天王寺から3つ目の駅で,つまり大阪市内中心部からやや離れている。梅田付近からなら,東梅田から乗れば片道20分足らず。お店で買い物をし,電車を待つ時間を含めても,1時間あれば往復できるだろう。これが新大阪からとなると,御堂筋線から谷町線への乗り換えが必要になり,片道40分くらいかかる。となると往復には2時間くらい見ておきたくなる。帰りにちょっと時間が空いたからといって,お気軽に買いに行けるような場所ではないのが惜しい。逆に考えれば,天王寺方面に近づく機会があれば,ちょっと足をのばして「郷土銘菓 田辺大根」を買ってみることをおすすめしたい。
この夏にも「郷土銘菓 田辺大根」を手土産に使ったのだが,そのときふと思ったことがある。
「大阪に田辺大根のお菓子があるんだから,東京に練馬大根のお菓子があってもいいはずだ。」
Googleで検索すると,「栄泉」というお店で売られている「練馬大根最中」「練馬大根まんじゅう」というものが見つかった。このうち「練馬大根まんじゅう」は大根の形をしているというだけで,練馬大根を使っているというわけではないようだ。だが,もう1つの「練馬大根最中」については,「9月〜5月まで,限定で白餡に練馬大根入の最中を販売しています。」(*4)とのことである。これこそ,私が期待していたお菓子である。見つかったからには,「郷土銘菓 田辺大根」と「練馬大根最中」を食べくらべたくなるのは当然であろう。
話は東京に戻るわけだが,東京を訪れたこの機会を利用して,今日は「練馬大根最中」を買いに行くことにした。10月になったのだから,限定の「練馬大根入り」最中が売られているはずだ。しかし,大阪と違って,東京は広いのである。しかも,練馬は,都心部からけっこう離れている。目的地「栄泉」の最寄駅は,西武池袋線の大泉学園駅だ。仕事等で東京を訪れたとき,移動に利用するのはJRか東京メトロが多く,西武池袋線にはまだ乗ったことがない。いや,そもそも西武の電車に乗るのは,10年ほど前に「ちひろ美術館」を訪れたとき(2003年6月15日の日記を参照)に乗って以来のことだと思う。
翌日の仕事の準備等を済ませ,麹町駅から東京メトロ有楽町線に乗る。そのまま小竹向原駅まで乗って行けばいいのだが,はじめて西武池袋線に乗るのだからと,池袋駅で降りて乗り換える。発車時刻表を見ると,もうすぐ発車する保谷行き普通電車の次に発車する,飯能行きの準急に乗ればいいらしい。だが,発車案内表示板には,保谷行き普通など表示されておらず,表示されている普通電車は西武球場前行きである。ああそうか,クライマックスシリーズか(^_^;
さて,大泉学園駅から「栄泉」のお店までは,ちょっと距離がある。朝から暑かったわけだが,お昼を過ぎると,さらに強烈に暑い。日陰では風がややひんやりと感じるので,暦の上ではオクトーバーで間違いないのだろうけれど,とても10月だとは思いたくない。信じたくないが,これが現実である。すたすた歩けば15分くらいで行けるだろうが,写真を撮りながらぶらぶら歩いたので,けっこう時間がかかった。
ここまでの道中に高層ビルなどは見えず,ところどころに防風林のようなものがあり,この風景は「東京23区」というよりも「埼玉」だと思う。いや,これが「練馬」の風景ということか。ともあれ,白餡に練馬大根の入っているという「練馬大根最中」を購入することができたのだ。
さて,食べてみた感想だが,個人的にはもう少し,ダイコンの風味がはっきりと感じられてもいいのではないか,と思った。「練馬大根最中」は「郷土銘菓 田辺大根」にくらべて,ダイコンの風味が弱く感じたのである。人それぞれ好みも違うだろうから,「おいしい」「おいしくない」は簡単には言えないが,ダイコンを使っているという特徴がわかりやすいかわかりにくいかという観点からいえば,私は「郷土銘菓 田辺大根」に軍配をあげたいと思う。
そうはいっても「練馬大根最中」もそれなりにおいしいので,また機会があれば買いに行こうと思う。だが,大きな問題がある。それは,練馬が都心部からやや遠いこと。しかも,大泉学園というと,練馬でもかなり端のほうである。しかも,お店が駅から遠い。出張のついでにちょこっと立ち寄る,というのは難しそうである。
「郷土銘菓 田辺大根」と「練馬大根最中」の食べくらべ,ぜひ,あなたにもチャレンジしていただきたい。そして,あなたなりの評価を,お聞かせいただきたい。
*1 大阪産(おおさかもん)公式ホームページ (大阪府)
→http://www.pref.osaka.jp/nosei/osakamon/
*2 なにわの伝統野菜 田辺大根 (真言宗泉涌寺派大本山 法楽寺)
→http://www.horakuji.hello-net.info/daikon/
*3 なにわの伝統野菜を使った和菓子「田辺大根」 (銘菓処 松屋)
→http://www.meika-matsuya.com/
*4 大根最中 (栄泉)
→http://members.jcom.home.ne.jp/eisen/nerimadaikonmonaka.html
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