2013年05月01日(水) 天気:はれ
問題は老朽化か? トワイライトエクスプレスはどうなる?
いま,テレビはハイビジョンがあたりまえになっている。画面がブラウン管から液晶になり,画面サイズも大きくなって,もはやリビングルームなどでは32型でも小さいくらいだ。ここまで大きくなると,昔,録画したNTSCとよばれる規格のビデオの画質が見劣りするようになる。私がいまの32型のテレビを買うとき,37型にするかどうか迷ったものだ。32型にした理由は価格もさることながら,NTSCのビデオを37型の画面で見るのが,あまりにも辛かったからである。「地デジ化」までまだ間があったものの,それまで使っていたテレビが故障したので,急遽,テレビを買い替えることにした。そのときにはまだ,レコーダまでは買い替えるつもりがなかったのだった。
ハイビジョン化したのは,テレビ放送だけではない。家庭用ビデオカメラも,いまはハイビジョンがあたりまえである。そのせいか最近,中古カメラ売り場の片隅で,ミニDVカセットを使うNTSCのディジタルビデオカメラに1980円の価格がつけられているのを見た。もう,NTSCのビデオカメラは,ほとんど振り向かれることがないのかもしれない。一瞬だけ,ミニDVカセットを再生する装置の予備として保護しておこうかと思ったが,このときには思いとどまった。何年かの後に,ミニDVカセットを再生する機器がなくなって苦労することがあれば,きっと後悔するだろう。とりあえずは,ミニDVカセットで撮影したら,マスターテープは保管しておくとしても,早々にDVDにダビングしてバックアップを作っておくようにしている。
ところで,私にとってはじめてのビデオカメラは,日立「マスタックスムービー VM-550」というものであった。これはVHS方式のもので,肩に載せるようにして使うものだ。高画質のS-VHSではなく,コンパクトなVHS-Cでもない。大きいがために,ぱっと見た目には業務用カメラに見えるかもしれない,というものである。性能的にはたいしたものではないが,個々のつまみが大きくて,使いやすいと感じるものであった。ただし,その大きさのためにいつでも気軽に持ち出せるようなものではなく,これを使って撮影したもので,いま人に見せられるようなものは,1989年12月2日に起こった金星食を撮影したものくらいしかない。
これは,ダビング編集したものをさらにDVDにダビングしてあるので,今でも見ようと思えば見られるのだが,ダビングを繰り返したことによる画質の劣化は激しい。なお,マスターテープは,すでにない。また,このカメラもすでに手もとにないので,その姿を紹介できる画像は,上のようなものを含め,わずかしか手もとに残っていない。
そののち1993年に北海道へ行く機会があり,日立VM-550を持っていこうと考えた。しかし,あまりに大きくてカメラバッグに入らない。これが入るようなカメラバッグは,数万円くらいでは買えない。そこで,ビデオカメラを買いかえることにした。そして買ったものが,8ミリビデオのキヤノン「UC1 Hi」というHi8規格のものである。これを使って最初に撮影したものは,大阪から北海道へ旅立つ直前,大阪駅で撮影したものだ。
最初に撮影したときには,Hi8のものではなく通常のテープを使用した。UC1 Hiは日本橋で何軒かのお店をまわって購入したのだが,価格交渉の結果「大手のお店と同じ価格」で「オマケをもっとつける」ということになった。その「オマケ」というのが,通常のテープ20本だったのである(大手のお店では,通常のテープを2本オマケする,という条件だった)。それだけあればたちまちの撮影には困らないのだが,やはりせっかくだからHi8で撮影したい。結局,ちょっと高いが,Hi8のテープも何本か購入することになったものである。
さて,大阪から北海道へ行くのに,伊丹空港ではなく大阪駅にいたのはなぜか?ほかでもない,「トワイライトエクスプレス」を利用するためである。
「トワイライトエクスプレス」は,大阪と札幌とを結ぶ,寝台特急列車である。所用時間は,約22時間。航空機にかなうはずもない。また,すべて寝台車であり,安価な自由席などは設定されていない。どちらかというと,ちょっと非日常的な旅を楽しもうというコンセプトの列車である。そのためか,豪華な個室などもあり,料金は高いのだが数が少ないこともあって,かなりの人気になっているようだ。「トワイライトエクスプレス」は,1989年から運転が開始されたが,必ずしも毎日運転されているわけではなく,ずっと臨時列車扱いである。
私がこれに乗車したのは,運転開始から4年目のことであった。
「トワイライトエクスプレス」は,いまでも運転されており,あいかわらず人気が高いようである。しかし,これに使用されている客車は,1970年代後半に製造されたもの。「トワイライトエクスプレス」の運転にあわせてリニューアルされ,さらに21世紀に入ってからもリニューアルされたとのことだが,車両の製造からまもなく40年になろうかというものである。鉄道の車両は,一般の自動車にくらべれば長く使われる傾向があるが,それでも40年というのはかなり長い。最近,寝台列車がつぎつぎに廃止になっている(2012年3月15日の日記を参照)のは,利用者の減少が大きな要因とされるが,車両の老朽化も要因の1つとされている。
ところで2015年春(2014年度末)には,北陸新幹線が長野から糸魚川,富山を経て,金沢まで開業する予定である。並行する在来線は,JRによる経営から分離されることになる。そうなった場合,直通する列車の運行にも影響がでるだろう。
これらの状況のなか,「トワイライトエクスプレス」は今後どうなるか?もういちど,これに乗って,北海道へ行く機会をもちたいものだ。
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