撮影日記


2013年04月04日(木) 天気:晴

「末期色」って言わないで!
黄色い車両はサクラとよく似合うのだ

この日記で何度も書いていることだが,私は「鉄」ではない。よく誤解されていることだが,この点は,じゅうぶんにご理解いただきたい。私は鉄道に関心があるというよりも,古い機械が実際に使われていることに関心があるのだ。たとえば乗用車は,おおむね10年ほどで買いかえられることが多く,5〜6年ほどでモデルチェンジしてしまうため,最初のモデルが登場して15年もたてばその型の自動車を見かけることはほとんどなくなってしまう。ところが鉄道車両の場合,20年や30年くらい使われることが多く,しかも自動車のように頻繁にモデルチェンジしないため,同じ型の車両が長く見られることになる。だから,自動車と鉄道車両と,どちらに関心が高いですか?と問われれば,鉄道車両のほうを選ぶだろう。自動車については,また,別の魅力がある。それは自分で所有して,自分で運転できることだ。おっと,話がずれてきた。
 とくに広島付近のJRの在来線では,もう30年近くも「新車」が導入されていない。たまに芸備線で見られるローカル線用のディーゼルカー(キハ120,1991年より製造)を除けば,最新の車両は1982年から1983年にかけて製造された,115系3000番台とよばれる電車である。
 この間に,車両の塗装は,何度か変更があった。塗装の変更は,すべての車両に対して一気におこなわれるわけではないため,以前の塗装のままの車両とあたらしいタイプの塗装の車両とが,まじって使われることになる。さらに,ほかの地区から異動してきた「中古車」は,異動してくる前の地方独特の塗装のまま使われることもあり,さらに塗装のバリエーションが広がる。
 これに対してJR西日本・広島支社は,2009年12月に「広島支社 車体塗装の変更について」というプレスリリースを出し,「現在、弊社ではさまざまな塗装の車両を運転しておりますが、このたびJR西日本の保有車両として地域色を表現した上で、統一性を持たせることにしました。広島支社でも次のようにシンプルなデザインとすることで、地域色をより強調し、今後も地域の皆様からより親しみを持っていただけるよう努めてまいります。」(*1)として,電車の色を「濃黄色」に統一することを発表した。
 発表から3年以上が経過したが,まだ黄色くない車両を見かけることも多い。一方で,2013年3月13日づけの「JR西日本グループ 中期経営計画2017」(*2)では「車両更新(広島地区)」という文言が見られ,2014年度から順次,新車を導入する予定もあるとのこと。その新車が濃黄色にならないのであれば,結局,車両の塗装の統一は果たされないことになる。

ところで,この濃黄色の塗装は,あまり評判がよくないようだ。「鉄」な人たちのなかには,古い車両もいつまでもしつこく手入れして使うことから,「まっ黄色」をもじって「末期色」などとよぶ人もある。そこには,黄色1色にすることは,明らかにコストダウンをねらったものだろうという推察から,なかなか新車を導入しないJR西日本に対しての非難の意がこめられているのかもしれない。
 しかし,電車を風景の一部と考えれば,この黄色は,それほど悪くないと思うのだ。

FUJI FinePix Z5fd

これは,三滝駅で撮影した画像である。コンパクトディジタルカメラでお手軽に撮影した動画なので,見苦しいところもあるのだが,奥に見えるサクラの花と黄色い車両の組みあわせは,じつによく似合っているじゃないか。
 黄色い車両とサクラの花の組みあわせというと,廃止になった安野駅を何度か訪れたことが思い出される(2002年3月31日の日記を参照)。黄色い車両は,写真を撮るには都合よいのだ。

Tachihara Fielstand45, FUJINON 210mm F5.6, E100VS

*1 広島支社 車体塗装の変更について (西日本旅客鉄道株式会社広島支社,2009年12月9日)
http://web.archive.org/web/20091213010846/http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1174601_799.html
→JR西日本のWebサイトからは削除されているようだが,Internet Archiveで閲覧できる。

*2 JR西日本グループ 中期経営計画2017 (西日本旅客鉄道株式会社,2013年3月13日)
http://www.westjr.co.jp/company/info/plan/pdf/plan_2017.pdf
→PDFファイルの13ページ目,下部の枠囲みのなかに,「おもな投資」の1つとして「車両更新(広島地区)」がある。


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