撮影日記


2011年08月10日(水) 天気:曇のち晴

「売店」じゃないよ 「バイテン」だよ

私がたびたびこの日記に書いたり,Twitterでつぶやいたりしている「バイテンの日」だが,これを「kioskの日」だと思っている人もいるようだ。いまいちど書いておくが,ここでいう「バイテン」は「エイトバイテン」の略であり,「エイトバイテン」は「8×10」のことで,8インチ×10インチの大判写真のことを意味しているのである。つまり8月10日は,大判写真を楽しむ日なのである。
 などと偉そうなことを書いたが,私は8×10判のような大きなフォーマットのカメラをもっていない。いま,私の手もとにあるもっとも大きなフォーマットのカメラは,四切1/2の組立暗箱である。四切の大きさは12インチ×10インチで,その1/2だから大きさは6インチ×10インチとなり,「バイテン」よりすこし天地が短い。天地が短いということは,いわゆるパノラマフォーマットのように,すこし長細い画面になるということだ。パノラマフォーマットほどではない,少し長細いフォーマットは,個人的に好きである。

ということで,今年も四切1/2の組立暗箱で,「バイテンの日」の撮影をおこなうことにする。四切1/2は,3:5というすこし長細いフォーマットだから,できるだけ短焦点なレンズを使ってワイドな視野を得たい。しかし,その対角線の長さは290mmほどある。手もとにあるレンズのうち,それだけの広いイメージサークルをもつものは,フジの210mmレンズしかない。FUJINON W 150mm F5.6のイメージサークルは224mmしかなく,また,私が使う組立暗箱では,150mmという短焦点レンズで無限遠にピントがこない。しかたなくFUJINON W 210mm F5.6を使うのであるが,それでも35mm判(ライカ判)で35mmレンズよりもワイドな広角レンズとして使うことになる。
 いうまでもないが,夏は暑い。だから,4時半には起床して,早朝の平和公園で撮影をおこなおうと考えた。夕方の西空をバックにして原爆ドームを撮ったことは何度もあるが,朝の東空をバックにして撮ったことはほとんどないのである。ところが目覚めれば,すでに5時半。これではあまり余裕がないので,早朝の撮影はあきらめるしかない。
 結局,夕方に撮影をおこなうことにした。まだ強い西日を浴びる原爆ドームを,順光で撮ることになる。ワイドな迫力を得るために,近いところから見上げるような構図をつくってみた。

つぎはすこし場所を変えて,川へ降りる途中から見上げてみた。スイングアオリを使いたい場面であるが,古典的な組立暗箱ではフロントライズを除いてアオリ機構は用意されていない。とはいえ各部分に多少の「遊び」があるような組立暗箱なので,気持ちほどはアオリが可能である。これは「長所」というよりも,工作精度がいまひとつという「短所」なのかもしれないが(笑)。気持ちほどだがアオリを効かせ,さらに思いっきり絞りこむことで,手前の碑にも,奥の原爆ドームのレンガにも,だいだいピントがあって見えるようになった。

先日の反省から,こんどはD23を1:1に希釈して現像をおこなった。それでもまだ,現像の進行が速い。横着せずに,十分に液温を下げて処理するべきなのであろう。
 このようにサイズが大きな場合であっても,無反射ガラスを上に載せるだけで無理に押さえこむことなく,密着プリントもなんとかできたのであった。

OKUHARA CAMERA, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBLO WP FM2 (ISO 1.5として撮影), D23(1:1)で現像
OKUHARA CAMERA, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBLO WP FM2 (ISO 1.5として撮影), D23(1:1)で現像

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