2011年07月22日(金) 天気:晴
また1つ,記録メディアが減っていく。 SONYが8mmビデオレコーダの終了を発表。
これまで,さまざまな記録メディアが登場し,そして消えていった。長い期間にわたって使われた記録メディアもあれば,ごく短期間に市場から姿を消した記録メディアもある。
手軽に記録や再生ができた記録メディアには,磁気を利用したものが多くあった。テープあるいはディスク状のものに磁性体(磁気を帯びる性質のある物質)が塗布されたもので,電気信号を磁気の向きとして記録するようになっていた。記録された情報は,より強い磁気を与えるなどして消去でき,情報を書きかえることも可能だった。何度も記録・再生ができ,かつ保存もできる便利な記録メディアだったわけだ。
原理的には同じような磁気を利用した記録メディアだが,その形や大きさなどには,さまざまな規格のものがあった。オーディオ録音用には,コンパクトカセットとよばれるものが広く使われていたが,それ以外にオープンリール式のものやマイクロカセットとよばれるものもあった。音楽ソフトを提供するメディアが,アナログ方式のLPからディジタル方式のCDにかわっていったように,録音用のメディアもアナログ方式のものにくわえて,ディジタル方式のものが登場した。DAT (Digital Audio Tape)と呼ばれるものや,DCC (Digital Compact Casette)と呼ばれるものがそうだ。ほぼ同時期に登場したDATとDCCだが,DCCはほどなくして市場から姿を消している。DATも,いつしか消え去っていた。
ただ,コンパクトカセットに記録された音を再生するには,コンパクトカセット用のテープデッキが必要である。DATに記録された音を再生するには,DAT用のテープデッキが必要である。メディアごとに,それぞれ専用のテープデッキが必要になる。異なるメディア間に,互換性はない(DCCデッキは,コンパクトカセットを再生できるという「互換性」がセールスポイントの1つになっていたようであるが,これは特殊な事例だろう)。DATデッキが故障して,修理不能になれば,DATに録音した音を再生することはできないのである(2005年10月08日の日記および2005年10月15日の日記を参照)。
これは,録音機だけでなく録画機でも同じことだ。家庭用ビデオデッキの規格として,β方式とVHS方式が争っていたことは,よく知られているだろう。結局,VHS方式が主流となったわけだが,β方式とVHS方式とにはメディアの互換性がなく,β方式を購入した人は,たとえば消耗品であるテープの選択肢が少ないなどの不便を被ることになった。いま録画機といえば,HDD(ハードディスクドライブ)を内蔵したDVDやブルーレイデッキが主流であり,VHS方式のビデオテープデッキは,市場でほとんど見られなくなっている。
家庭用録画機の主流はVHSおよびβだったが,これらはオーディオ用のコンパクトカセットにくらべて,記録メディアテープが大きいという問題点があった。とくに,ムービーカメラの記録に使うときに,問題が大きい。その後,オーディオ用コンパクトカセットテープと同じくらいの大きさのテープを使う,Video 8という規格がムービーカメラ用として普及した。私が最初に入手して使ったビデオムービーカメラはVHS方式(コンパクトなVHS-Cではなく,フルサイズのVHS)だったが,後にVideo 8を使うようになった。Video 8規格のビデオムービーカメラは,VHSにくらべてコンパクトなのはいいのだが,ムービーカメラは肩に載せるくらいの大きさがあるほうが使いやすいように思う。ま,そんなことは,いまさらどうでもいい。ともあれ,Video 8で撮りためた映像がかなりあるのだが,機械が故障してしまっているので,それらを再生できないでいる。
そしてついに,SONYから,Video 8レコーダの生産終了が発表されたのである(*1)。
なお,いまさら,新品のVideo 8レコーダを購入して使うつもりはまったくない。できるなら,中古品を安く入手して,撮りためた映像をDVD等にダビングしておきたいと考えている。そろそろ,本気で中古品をさがさなくちゃならないようだ。
*1 「8ミリ方式 デジタルビデオ カセットレコーダー 出荷完了のお知らせ」(ソニー株式会社,ソニーマーケティング株式会社)
http://www.sony.jp/handycam/info2/20110721.html
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