2016年04月19日(火) 天気:晴
これも,オールドレンズブーム? 「ヨンサンハチロク」をディジタルカメラで
FUJIX DS-505Aは,マウント周囲に連動ピンがないので,Ai方式以前の古いニッコールレンズでも装着することができる。ただし,本体に縮小光学系を内蔵しているために,レンズによってはケラレが生じて使えない場合がある。初期の超広角レンズNIKKOR-N Auto 24mm F2.8はケラレが大きくて使える場面が限定される(2016年3月28日の日記を参照)が,初期の大口径レンズNIKKOR-S Auto 5.8cm F1.4は問題なく撮影に用いることができた(2016年3月30日の日記を参照)。古いレンズで撮ると,最新のレンズにくらべてなにか欠点が見えたり,妙なクセがあったりして,おもしろい描写をするのではないかという期待がある。NIKKOR-N Auto 24mm F2.8もNIKKOR-S Auto 5.8cm F1.4も,どちらも素性のよいレンズのようで,わかりやすい特徴的な写りを示してはくれなかった。
フィルムとイメージセンサとでは色などに対する特性が異なるだろうし,DS-505Aは縮小光学系を内蔵していることもあって,古いレンズ本来の性能を語れるわけではない。なにか特徴的な写りを示してくれれば,その癖を利用して撮影するのはおもしろいだろうと期待していたのに,残念である。
NIKKOR-N Auto 24mm F2.8もNIKKOR-S Auto 5.8cm F1.4も,素性がよいのは当然だ。どちらも,当時としての最高性能をねらったレンズである。ということは,最高性能をねらったわけではないといえるレンズならば,おもしろい写りをしてくれるだろうか?そこで,Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5の出番となる。
初期の超広角レンズNIKKOR-N Auto 24mm F2.8,初期の大口径レンズNIKKOR-S Auto 5.8cm F1.4を試したならば,つぎは初期の標準ズームレンズZoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5を試してみるのは,当然のことであろう。
Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5は,ライカ判の一眼レフカメラ用としてはじめての「標準ズームレンズ」であるとされる。「標準ズームレンズ」というものをどのように定義するかにもよるのだが,ライカ判カメラでは「50mm」がいわゆる「標準レンズ」とされている。そのため,「50mm」をはさんで短焦点側と長焦点側の焦点距離をカバーするズームレンズを「標準ズームレンズ」と呼ぶ習慣がある。この条件で言えば,よく知られているようにBESSAMATIC用に発売されたZoomar 36mm-82mm F2.8がはじめての「標準ズームレンズ」になるのだが,このレンズは常用するにはあまりに大きい。そこで,標準レンズのかわりに常用できるくらいにコンパクトであることも「標準ズームレンズ」の条件として含めれば,Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5がはじめての「標準ズームレンズ」ということになる。
Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5の描写にはさまざまな問題点が指摘されるが,わかりやすい問題点の1つとして,
短焦点側では樽型の歪曲収差(全体が膨らんで見えるような歪み)が,長焦点側では糸巻型の歪曲収差(全体が中央に集まって見えるような歪み)が目立つというものがある。だが,画面の隅に直線状のものを配置しなければ,そんなことはまったく気にならない。
FUJIX DS-505A, Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5
すっきりとした描写には,好感をもてる。
FUJIX DS-505A, Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5
明暗差が大きい状況では,描写も固く,トーンも貧弱に感じられるが,これはレンズの性質ではなく,初期のディジタルカメラの限界と考えるべきだろう。
ここまでの2コマは,86mm側で撮ったものである。つぎは,43mm側で撮ってみよう。
FUJIX DS-505A, Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5
86mm側では目立たなかった,内蔵された縮小光学系によるケラレが顕著である。
ケラレだけでなく,周辺部の描写が乱れていて,とても不安になる画像になった。
明暗差が小さい状況ではすっきりした描写を示し,明暗差が大きい状態で43mm側で撮ると不安を感じる描写になる。とても特徴的な写りを示したわけだが,この特徴をどう生かすべきか,まだ思いつかない。
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